日本語サイトを用意しながらも一向にサービスを開始する気配の無いTIDALと、2021年中にサービスをスタートすることを公表しておきながら、その後2022年になっても音沙汰なしのSpotify HiFi、どちらを選ぼうか、という少し気の早いお話をしてみようかと。
Spotify HiFiに関してはまだ存在さえしていないサービスですので、本来比較なんて出来ないのですが、そこは勝手な「予想」や「噂」などを織り交ぜつつ、両サービスを比べてみます。(ちなみに、僕はTIDALを海外アカウントで、Spotifyは国内アカウントで使用中です)
TIDALとSpotify HiFiの音質はTIDALが有利か?
この比較は単純明快。兎にも角にもより高音質な環境で音楽を聴きたいならば、データ上はTIDALを選んでおけば間違い無さそうです。
最大9216kbpsのMQA再生が可能なTIDALに対し、Spotify HiFiはCDと同じ1411kbpsでサービスを開始する予定となっています。
詳細:Five Things to Know About Spotify HiFi(公式ブログ)
ただし、Spotifyが「Spotify HiFi」のサービス開始予定を公表した後、AppleMusicのロスレス配信スタートや、Amazon Music HDの実質無料化(Amazon Music Unlimitedに吸収)という、Spotifyにとっては痛いニュースが続きましたので、大幅にサービス内容を変更してくる可能性もあるのではないでしょうか。
いざ蓋を開けてみたらSpotify HiFiはその他の高音質ストリーミングサービスと同等の音質でした、なんて事になりそうな予感です。
利用料金はSpotify HiFiよりもTIDALが高い?
繰り返しになりますが、TIDALは日本でサービスを開始していませんし、Spotify HiFiはまだスタートさえしていない状態です。そのため利用料金の比較は不可能です。
そこで、参考までにアメリカの価格で比較してみましょう。
- TIDAL $19.99/月 (2,300円前後)
- Spotify $9.99/月 (1,150円前後)
実はTIDALはSpotifyに比べて倍もするサービスなのです。
TIDALの価格は国ごとに幅がありますし、Spotify HiFiが通常のSpotifyよりも高くなるのか、はたまたAppleMusicやAmazon Music HDのように既存プランと同額になるのかは分かりません。
しかし、Spotifyが競合他社に比べ倍以上もする高額な高音質プランを追加することは難しいのではないでしょうか。
その点、TIDALは良くも悪くも「マニア向け」のサービスと言えそうな位置付けにあり、日本でも多少高い価格設定をしてくる気がします。
TIDALは1,800円〜2,000円、Spotify HiFiは980円〜1,500円程度になるのでは?と予想しています。
TIDALの高音質を堪能するには投資が必要なことも
TIDALの高音質を堪能するには、MQAに対応した機器が必要というハードルの高さがあります。
高音質の為ならいくらでも投資できるという恵まれた方はさておき、限られた予算の中で細々と機器を揃える必要のある僕のような人間にとって、MQA対応機器をどう揃えるかは悩ましい問題です。せっかく揃えたDACがMQAに対応していないのでまた買い替えに、なんて悲しいことになってしまうのです。
TIDALのアプリでMQAを再生できるので、既存のDACでも再生出来ない訳ではありませんが、せっかくTIDALを利用するのであればより高音質で聴きたくなってしまうことは間違いありません。
【関連】:TIDAL対応ディバイス
TIDALの方が楽曲を「深堀り」できる
あくまでも「既存サービス」で比較した話になってしまいますが、TIDALはSpotifyに比べてアーティストや楽曲を深堀りできる仕様になっています。
楽曲ごとに「プロデューサーが誰で」「エンジニアが誰で」「ピアノを誰が弾いていて」という具合に細かい情報まで表示されていて、それぞれが関係している楽曲を聴くことも可能です。
一方Spotifyでも「楽曲クレジット」として作曲家やプロデューサーを調べることは出来ますが、TIDALのようにそこから先へ移動出来なかったり、なぜかブラウザーへ飛ばされたりしてしまう謎仕様です。
そんな訳で好みの曲を貪欲に探したいのであれば、現状TIDALをおすすめします。
TIDALならニール・ヤングもジョニー・ミッチェルも聴ける
ご存知の方が多い話題かと思いますが、Spotifyのポッドキャストで「誤った情報を流していること」を理由として、ニール・ヤングを皮切りに、ニール・ヤングに賛同したアーティストが続々とSpotifyから撤退しています。
僕の場合、ニール・ヤングはもちろん、ジョニー・ミッチェルのアルバムが聴けなくなった事が地味に痛手です。(ジョニー・ミッチェルは古いアルバムが聴けなくなりました)
Spotifyが問題のポッドキャストを削除する動きは現状無いようで、暫くこの動きが続く可能性はありそうです。
ただし、TIDALのラインナップが完璧かというとそんな事もありません。サービス開始前なこともあり圧倒的な差がある邦楽はさておき、洋楽でも「SpotifyにはあるけれどTIDALでは見つからない」楽曲は存在します。
そんな訳で、今回の問題だけでTIDALを選んでしまうと後悔する可能性大です。
アプリの使い勝手は互角だけど、Spotify HiFiの方が便利そう
これもあくまで「既存サービス」の比較と「予想」になってしまいますが、両サービスを比較した場合、恐らくSpotify HiFiの方が便利でしょう。
アプリの使い勝手は両サービスともに素晴らしく、Amazon Music UnlimitedやAppleMusicよりも遥かに使いやすいです。ユーザーインターフェースは似ているので、移行したとしても戸惑うことはありません。
問題は、ユーザー数で圧倒的に先行するSpotifyの方がありとあらゆる場面で「便利さ」を感じる場面が多いであろうことです。
例えば、
- Spotifyでしかプレイリストが公開されない
- 知人から送られてくるおすすめ曲のリンクがSpotify
- 楽曲検索アプリがSpotifyしか連動していない
など、TIDALがスタートしたとしても、いろんな場面でSpotifyが優遇される場面に遭遇するでしょう。
あと、Spotifyの方が「おすすめ」の精度が高い気がします。TIDALのおすすめは段々とマンネリ化してくるのですが、Spotifyは全く知らないアーティストに出会える頻度が高いです。
そんな不便さを我慢しつつTIDALを選択できるのか?という点が「TIDALとSpotify HiFiどちらを選ぶ?」の肝になりそうです。
まとめ
結論の出しようが無いタイミングで書いている記事ですので最後までぐだぐだですが、無理やりまとめてしまうと、
- 高音質を最優先 ⇒ TIDAL
- バランス力を優先 ⇒ Spotify HiFi
という判断になるのではないでしょうか。
僕の場合、現状は音質に圧倒的な差があるので自宅ではTIDALをメインにしつつ、外出先ではSpotifyを利用していますが、Spotify HiFiがスタートし、音質にさほど差がなくなると非常に悩ましい判断を迫られることになりそうです。
今のように気軽に外出しにくい時代が当分続くのであれば、メインはTIDALかなぁ、なんて想像していますが、Spotify HiFiの仕様と料金次第ではあっさりSpotify HiFiに一本化してしまうかもしれません。
結局TIDALは日本でサービスを開始せず、Spotify HiFiは立ち消えに、なんて最悪な事になる可能性もありそうな気もしますが、もう暫く気長に待つことといたしましょう。
ちなみに、下記記事ではTIDALを日本で使う方法を解説しています。すぐにTIDALを使いたい方は参考にしみてください。
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