WiiM Pro vs. ZEN Stream:TIDALユーザーが買うべきはどちら?

※当サイトはアフィリエイト広告を利用している記事があります。

システムにミュージックストリーマーWiiM Proを導入しました。

WiiMといえば、小型でかなり手頃な価格のWiiM Miniが先行して人気を博していますが、WiiM ProはMiniの強化版として登場(アメリカでは2022年、日本では2023年に発売)したモデルです。

今回は、入門クラスのストリーマーiFi audio ZEN Streamとも比較しながら、どちらがTIDALユーザーにとって最適な選択肢なのかを探っていきたいと思います。

再生環境

  • DAC兼プリアンプ:RME / ADI-2 DAC fs
  • スピーカー:GENELEC G One(アクティブ・スピーカー)
目次

音質はZEN Streamの方がWiiM Proより良い、けれど

さて、いきなりですが、一番気になっていた音質についてのお話からスタートします。

ZEN StreamをWiiM Proに付け変え、TIDAL(共にTIDAL connect利用)を再生した感想は、「こんなものか…」というものでした。

聴こえてくる音はZEN Streamに比べると曇りがち、平面的でやや歪んだ印象の音です。音の解像感も背景の静けさもZEN Streamに比べるといまいちで、ZEN Streamを初めて利用した時のような感動は全くありませんでした。明らかにZEN Streamの音質が良かったのです。

しかし、です。

購入から1ヶ月以上WiiM Proを使い続けてみた現在、次第に両者の違いが分からなくなってきてしまいました。

間違いなく、当初の音は誰に聴かせてもZEN Streamの方が良いと言う自信がありました。まさに「値段なり」という音だったのです。しかし、今は「あれ?そんなに違いは無くないか?」というレベルにまで変化しています。

ちなみに、この変化を感じた時点では、WiiM Proに手を加えた箇所はありませんでした。完全にオリジナルのままです。

改めて比較するとZEN Streamに軍配が上がることは間違いない(音の透明度や明瞭さに差がある気がします)のですが、両者の値段の違いを考えると、WiiM Proが大健闘していることは間違いありません。

WiiM Pro、かなり良いです。

追記:少し訂正

ZEN StreamとWiiM Proの音質について、メインのシステム(プリ:Macintosh C40、パワー:nuprime sta-9、SP:JBL4312mk2WX)に戻して比較したところ、やはり音質にはかなりの差があるように感じます。

もちろん、ZEN Streamの方が良いです。WiiM Proも頑張っていますが、比較するとWiiM Proの音は平面的です。

そんな訳で、より良い音を求める方にはZEN Streamをおすすめします。

コストパフォーマンスはWiiM Proの圧勝

コストパフォーマンスについてはWiiM Proの圧勝です。

ZEN Streamが初登場した際、その高いコストパフォーマンスが注目を集めましたが、現在では円安や原材料費の上昇により、価格が66,000円(税込)にまで引き上げられています。我が家の環境では、さらに14,300円もするACアダプターiPower IIまで利用しているので、合計8万円以上です。

対するWiiM Pro。

Amazonでの販売価格は19,999円で、セール時には16,000円から17,000円程度で購入できます。つまり、iPower IIの価格に数千円をプラスするだけで、WiiM Pro本体を手に入れることができるのです。

先述の通り、音質ではZEN Streamには劣りますが、価格の差がこれほどあると、WiiM ProにはGaN(窒化ガリウム)ICを搭載したACアダプターを試したり、話題のLAN iSilencerを導入したりする余裕が生まれます。

もちろん、手を加えればWiiM ProがZEN Streamと同等のレベルになるという話ではありませんが、初期導入費用を抑えることで、さまざまな試行錯誤が容易になるというメリットがありますよね。

アプリはWiiM Proの方が断然使いやすい

使いやすさについても、WiiM Proの方が断然使いやすいです。

なにより、アプリの使い勝手に大きな差があります。

ZEN Streamにもifi製のアプリが存在しますが、設定以外では使う気になれないものであり、TIDALやSpotifyを利用する場合はそれぞれの専用アプリや、TIDALの場合はROONを主に使用しています。

一方、WiiM Proは導入時からアプリの誘導や設定が分かりやすく、数分で使える状態になりました。

さらに、WiiMのアプリは再生時にも使える機能が提供されています。

WiiMのアプリでは、所有する音源やTIDAL、Amazon Musicなどのサービスを横断的に検索・再生可能です。(ただし、Spotifyの検索はできず、操作は専用アプリに遷移します。)

再生中には、どのサービスで何を聴いているのか、音源のサンプルレート、出力先の設定などが一目で分かります。

アプリの動作も比較的スムーズでストレスを感じません。

動作には時折不安定さを感じることもありますし、各サービスごとにWiiMのアプリでできることは異なる(Amazon Musicは少し使いにくい)ので注意が必要ですが、少なくとも「日常的に使用するには十分なアプリ」と言えます。

WiiM ProとiFi audio ZEN Streamのハードウェア比較は一長一短あり

WiiM ProとiFi audio ZEN Streamのハードウェア比較は一長一短があります。

WiiM ProにはDAC機能あり

大きな違いの一つは、DAC機能の有無です。

ZEN Streamは外部DACが必要ですが、WiiM Proは内蔵のDACを持っており、DACを経由せずにプリアンプやプリメインアンプに接続したり、直接アクティブスピーカーに接続することができます。

短時間の試聴ですが、DACの音質に関しては値段相応であり、この点をメリットと感じる人はあまり多くないでしょう。ただし、よりシンプルな構成でオーディオを楽しみたい人にとっては魅力的かもしれません。

WiiM Proには再生とボリュームボタンあり

再生とボリュームボタンの有無も違いの一つです。

WiiM Proには本体で再生・停止やボリュームの調整ができます。これらのボタンやライトは設定で無効にすることも可能です。

一方、ZEN Streamには再生ボタンやボリュームボタンはありません。個人的にはあっても無くても良いのですが、急遽再生を止めたい時や音量を調整した時には、WiiM Proの方が便利かもしれません。

ちなみに、まだ日本で発売していませんがWiiM Proにはリモコンも存在します。

追記:リモコン同梱モデルも発売中

日本でもWiiM Proにリモコンを同梱したモデルが発売開始となっています。

WiiM Proには排他モードなし

逆に、ZEN StreamにはWiiM Proにはない機能もあります。

まず、ZEN Streamは排他モード(DLNA、HQ Player NAA、Roon、TIDALを選択可)が設定できますが、WiiM Proにはありません。音質にこだわりたい人にとっては「排他モードなし」というWiiM Proの仕様が気になる要素かもしれません。

WiiM ProにはUSB出力なし

また、USB出力の有無も大きな違いです。(USB-Cは電源用)

WiiM Proは同軸とSPDIF、LINEの出力が可能ですが、USB出力は無く、USB入力しかないDACを使用することはできません。そのため、WiiM ProをUSBの入力しか無い手頃な価格のDACと組み合わせることができないことに不便さを感じるかもしれません。(手元にあるZEN DACも使用できません)WiiM Proの購入を検討している方は注意が必要です。

TIDAL connectが安定しているのはWiiM Pro

TIDAL絡みのお話に移ります。

WiiM ProとiFi audio ZEN Streamの両方ともTIDAL connectに対応しており、MQA再生時のコアデコードにも対応していますので、TIDAL connectの再生に関してはほぼ同等と言えるでしょう。

ただし、我が家の環境では、ZEN Streamを使用してTIDAL connectを利用すると、再生がしばしば停止してしまうという現象が起きることがあります。

一方、WiiM Proではこのような問題を経験したことはありませんし、安定して再生することができます。

WiiM Proは2023年中にRoon Readyへ対応

現時点では、TIDALをより良い音質で楽しみたいユーザーにとってはZEN Streamの方が有利です。

なぜなら、ZEN Streamは既にRoon Readyに対応しているからです。

しかし、WiiM Proが2023年中にRoon Readyへ対応する予定です。Roon Ready対応後は、TIDAL再生機としてWiiM Proの魅力が一段と高まりそうです。

追記:Roon Ready対応しました

WiiM ProがRoon Readyに対応しました。良いですね。こんな値段でRoon Readyに対応してくれるなんて最高です。

TIDALユーザーにもAmazon Music Unlimitedを再生できるWiiM Proはメリットあり

WiiM Proの最大の利点は、Amazon Music Unlimitedに対応していることです。

現在、Amazon Music Unlimitedの再生に対応しているストリーマーは限られていますが、WiiM Pro(およびWiiM mini)は手頃な価格ながらも対応し、しかもビットパーフェクトで再生可能です。

ただし、TIDALユーザーにとってはこの点にあまり関心がないかもしれません。TIDALに劣る点は邦楽のラインナップが少ない程度で、その他の面ではAmazon Music Unlimitedの利点を感じない人も多いでしょう。

実際、僕自身もWiiM Proを導入し、久しぶりにAmazon Music Unlimitedを試してみるまでは同じような感想でした。以前Amazon Musicを使用していた時(HDサービスが開始されたばかりの頃)は、TIDALと比べて使い勝手が悪く、レコメンドの精度もイマイチでしたし、プレイリストも魅力に欠け、パソコンとDACで聴いた時の音質もあまり良くありませんでした。「Amazon Music使いにくいなぁ」と何度も文句を言いながら使っていたと記憶しています。

ところが、最近のTIDALの状況は、そんな文句を言っているどころではなくなりつつあります。

TIDALは日本でのサービス開始が進まず、最も注目されていたMQAの展開にも問題がありそうです。さらに、日本で利用しているユーザーに対しても制限(使えなくなる)がかかるなど、厳しい状況が続いています。

関連記事TIDALからMQAは無くなってしまうのかい?

そのため、「最悪TIDALが使えなくなっても、Amazon Music Unlimitedを使えばいい」という安心感を得られるWiiM Proは魅力的です。

実際にAmazon Music Unlimitedを再生してみると、音質に関してはWiiM Proで聴くAmazon Music UnlimitedとTIDALに大きな差は感じません。

操作性に関しては、WiiMアプリで再生するAmazon Music Unlimitedには改善の余地があり、お世辞にも使いやすいとは言えませんが、Amazon Musicの公式アプリを使えばそこまで悪くありません。

そんな訳で、WiiM Proを利用していれば、TIDALからAmazon Music Unlimitedに移行することになったとしても、大きな打撃にはならないとさえ思えてきています。(TIDALが使えなくなるのは悲しすぎますが)

一方、ZEN StreamはAmazon Music Unlimitedに対応していないため、TIDALが使えなくなると、ZEN Streamの活躍する場面が減少してしまう可能性があそうです。

ZEN Streamのユーザーとしては、QobuzやSpotify HIFIの展開にも期待していますが、保険としてなんとかAmazon Music Unlimitedにも対応して欲しいものです。

結論:WiiM ProはTIDALユーザーなら買って損のないストリーマー

結論として、WiiM ProはTIDALユーザーなら買って損のないストリーマーだと考えます。

もちろん、音質が最優先で予算はいくらでもかけられる方が検討するようなものではありませんが、

  • 安価でTIDAL、Amazon Music、Spotify、Deezerなどの再生が可能な環境を求めている方
  • Amazon Music Unlimitedも再生できるストリーマーを探している方
  • サブシステム用のストリーマーを探している方
  • 設定が簡単で使いやすいストリーマーを探している方

などにはピッタリすぎるのではないでしょうか。間違いなく買って損はありません。

ただし、最初にご紹介した通り購入直後の音は結構イマイチなので、その点だけはご注意ください。即座に判断せず、少し使ってみることをお勧めします。色々と手を入れるにしても、ある程度使った後の方が良いかもしれません。

あと、WiiM ProとZEN Streamのどちらがおすすめかと聞かれたならば、

  • 気軽にバランスよく各サービスを使いたいならWiiM Pro
  • Amazon Music Unlimitedも使いたいならWiiM Pro
  • 高くてWiiM Proより少し使いにくくても高音質な方が良いならZEN Stream
  • USB対応のDACを利用したいならZEN Stream

という提案になるでしょうか。

なんだかんだで、ほとんどの面でWiiM Proをおすすめしてしまいそうですが、USBの出力が無い点だけは要注意ですね。

お持ちのDACで問題無い方は、悩んでないでさくっとWiiM Proを購入してしまうことをおすすめします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

オーディオ歴は20年以上ながらも低予算運用につき機材の入れ替え頻度は極端に低め。JBLの4312mk2を愛用しています。聴く音楽は広く浅く。洋楽メインです。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次