イヤホンブランドのSOUNDPEATSより製品を無償で提供いただき、「SOUNDPEATS Engine 4」(2023年6月27日発売)のレビューを行う機会を得ました。
SOUNDPEATSと言えば、コストパフォーマンスに優れたワイヤレスイヤホンが世界中で人気を集めているブランドです。
実はSOUNDPEATSのイヤホンは以前にも使用していた時期があります。2,000円程度の格安ワイヤレスイヤホンでしたが、それが意外なほど音質が良かったのです。
現在は主にAirPods Proを使用していますが、経験から「SOUNDPEATSの商品ならば悪い訳がない」と確信していたため、レビュー記事を引き受けてみたのです。
そして、その期待通り、SOUNDPEATS Engine 4は素晴らしいイヤホンでした。
以下では、SOUNDPEATS Engine 4の使用感や、私が日常で使用しているストリーミングサービスとの相性などについて詳しくレビューしていきます。
SOUNDPEATS Engine 4はどんなイヤホン?
SOUNDPEATS Engine 4を簡潔に説明するならば、「コストパフォーマンスに優れた高音質ワイヤレスイヤホン」と言えそうです。
まずはその特徴を整理しておきます。
最大96kHz/24bitのハイレゾ音源に対応
SOUNDPEATS Engine 4の最大の特長は、最大96kHz/24bitのハイレゾ音源を伝送可能なLDACコーデックに対応している点です。ソニーを始めとる高級機にはLDACコーデックに対応したものもありますが、1万円未満の価格帯(通常価格:8,480円)での対応は驚きです。
個性的ながらも上品なデザイン
デザインは少し個性的ですが、上品で高級感があり、とても1万円以内で購入できるイヤホンには見えません。価格を知らない人なら、おそらく数万円するモデルと勘違いしてしまうのではないでしょうか。
長時間の使用が可能
再生時間は本体のみで12.5時間、LDACを使用しての再生でも8時間再生可能です。さらに、充電ケースを併用すれば、なんと43時間もの長時間再生できます。この再生時間は現行のAirPodsやAirPods Proのほぼ倍です。
抜群のコストパフォーマンス
高機能にも関わらず、価格は8,480円と非常に手頃です。また、セールやクーポンの利用により、さらに数千円安く購入することも可能です。実際には、この価格設定を実現するために犠牲にされている部分もあるのですが、それが具体的には何なのかは以降で詳しく取り上げたいと思います。
SOUNDPEATS Engine 4の仕様
タイプ | ワイヤレス |
形式 | カナル |
本体操作 | タッチ |
ドライバー方式 | 同軸デュアルダイナミックドライバー |
再生周波数帯域 | 20Hz—40KHz |
対応コーデック | AAC、SBC、LDAC |
Bluetoothバージョン | Bluetooth5.3 |
最大持続時間(単体) | 12.5時間 |
最大持続時間(本体) | 43時間 |
重量 (単体) | 6.5g |
重量 (本体) | 43g |
充電時間 | 2時間 |
充電コネクタ | USB Type-C |
マルチポイント | 対応 |
専用アプリ | 対応 |
防水性能 | IPX4 |
低音域と中高音域のバランスが良いSOUNDPEATS Engine 4
前述の通り、SOUNDPEATS Engine 4の音質の良さはある程度予想していましたが、実際に聴いてみるとその期待を遥かに超えるものでした。
メーカーによると、SOUNDPEATS Engine 4は「同軸デュアルダイナミックドライバーにより広い音場を実現。量感のある低音域と繊細で艶やかな中高音域を再現している」と説明されています。
SOUNDPEATS Engine 4には同軸上に配列させた独自の全く新しいドライバー方式を採用しております。中低音域を担当する10mmダイナミックドライバーがと高音域を担当する6mmダイナミックドライバーを独立した振動板に振り分けます。両ドライバーが干渉せず、振動板の同期性を高め、音の歪みを抑制でき、位相特性の優れたシームレスで自然な音調表現と繊細で高い解像度を高い次元で両立しています。
公式HPより
この内容を事前に読んでいても、実際の音を聴くまで、どこかで「どうせ高音や低音を過度に強調した音なのでは?」なんて思っていました。
しかし、実際のSOUNDPEATS Engine 4の音の傾向は、その謳い文句通り非常にバランスの良い音です。
どちらかと言えば明るめの音ですが、必要以上に高音や低音が強調されている感じはありません。ロックやジャズ、EDMやポップソングまで気持ちよく再生してくれます。
音質に関しては好みの問題もあるので誰にでもおすすめとまでは断言しませんが、少なくともJBLのモニタースピーカーやGRADOのヘッドホンを愛用(少し偏っていますが)している自分としてはまさに「好みの音」でした。
一部で低音が不足しているとの評価も見受けられますが、低音を強調すべき曲では、しっかりとした低音が感じられます。たとえば、ジェームズ・ブレイクやビリー・アイリッシュのズドーンと響く低音も、なんの不満なく再生してくれるのです。
ちなみに、SOUNDPEATS専用アプリのイコライザーでいくらでも調整もできるのですが、個人的には特にその必要を感じていません。
LDAC対応機器での再生により、SOUNDPEATS Engine 4の真価を実感
LDACコーデックに対応した機器を使い、TIDALやRoonを高音質モードで再生すると、SOUNDPEATS Engine 4の音の良さが一層際立ちます。この音質を体験した後では、中途半端な有線イヤホンは必要ないと感じるほどです。
問題は、ユーザーの多いiPhoneはLDACに対応していなということです。自分の場合、DAP代わりに使用しているAndroid機(LG V30)はLDACに対応していたので良かったのですが、多くの方が本当のSOUNDPEATS Engine 4の音の良さを気軽に体験できないのは残念すぎます。
補足しておくと、iPhoneでも十分に良い音がするのですが、一度LDACの音を体験してしまうとね…。その可能性は限りなく低そうですが、今後iPhoneがLDACに対応してくれることを願っています。
ペアリングやフィット感は問題なく、電池の持ちは抜群
Bluetooth機器はペアリングに手間がかかることがありますが、SOUNDPEATS Engine 4は簡単でした。充電ケースの下に位置するボタンを約3秒間押すことでペアリングモードに入り、iPhoneとAndroid機の両方ともあっさりと接続できました。
接続性に関しては、屋内外問わず、使用中に接続が途切れた経験はありません。ただ、極端に混雑している場所では使用した経験がないため、そのシチュエーションでの評価は今後の課題としておきます。
あと、イヤホンと言えばフィット感が気になりますよね。自分の場合、初めから装着されていたイヤーピースがピッタリでした。合計3種類のサイズが用意されていますので、ほとんどの人に適合するのではないでしょうか。
電池の持ちは実際に非常に優秀です。1日1時間から、長くても2時間程度しか使用しませんが、一度充電してしまうとなかなか減りません。ちなみに、充電ケースは比較的小型(AirPods Proの充電ケースより少し厚みがあるぐらい)で持ち運びも楽です。充電の持ちが良いとはいえ、ケースが特別に大きかったり重かったりすることはないので、ご安心ください。
マルチポイント機能は便利だけどLDACが使えない点は要注意
SOUNDPEATSの専用アプリを通じてマルチポイント機能を有効にすることで、2台の端末と同時に接続することが可能となります。
今回レビュー記事を書くにあたり、iPhoneとAndroid機を都度接続設定することなく使えて非常に便利でした。一台を再生用に、もう一台を待ち受けに、なんて場面でも活躍しそうです。
しかし、このマルチポイント機能を利用している間には、LDACの利用ができないという点には注意が必要です。
公式サイトや販売サイトにもこの情報は明記されていますが、自分は当初この仕様に気が付かず、なかなかLDACが使えるようにならずに苦労しました。マルチポイント機能は便利だけれど音質は犠牲になるよ(通常音質も悪くないのですが)という点は頭に入れておいてください。
加えて、アプリの利用を開始する際にメールアドレスの登録が必須となるのは、個人的には少々煩わしく感じました。
SOUNDPEATS Engine 4に非搭載の機能について
SOUNDPEATS Engine 4は音質が良く、コストパフォーマンスも抜群なので誰にもおすすめしたいところですが、先述の通り搭載されていない機能もあるので注意が必要です。
- ノイズキャンセリング: SOUNDPEATS Engine 4にはノイズキャンセリング機能が付いていません。ノイズキャンセリング機能を必須と考える方にとっては、この製品は選択肢から外れるかもしれません。ただし、遮音性は比較的高いので、SOUNDPEATS Engine 4にノイズキャンセリング機能がなくても問題ない場面も多いです。
2. 外部音取り込み機能: 職場や通勤で使用したい方はご注意ください。上記の通り、遮音性は比較的高いので周りの音が聞こえなくなりがちです。
3. ワイヤレス充電: ワイヤレス充電はできません。同梱のUSB Type-Cケーブルを使い充電することになります。
4. 着脱検知: 確かに着脱の検知機能は便利ですが、その代わり SOUNDPEATS Engine 4は片耳だけでも利用できます。耳が疲れた際や、寝る前など、片耳だけでの使用したいこともあるので、この点は意外と便利だったりしています。
本体の取り出しにはコツが必要
SOUNDPEATS Engine 4は「本体が取り出しにくい」と指摘されることが多いようです。
実際に本体は少し滑りやすく、充電ケースと本体の磁石の吸着力が強いため、さっと取り出そうとすると手を滑らせ、落としてしまう危険性があります。
本体(イヤホン自体)を少し回転させながら捻り出すようにすると、スムーズに取り出すことができるのですが、特に扱いに慣れていない最初のうちは注意が必要です。(手前に引くと取り出しにくいので要注意)
まとめ:SOUNDPEATS Engine 4は高音質が求められる場面でのリーズナブルな選択肢
ご紹介してきたように、SOUNDPEATS Engine 4はリーズナブルで非常に高い性能を持つワイヤレスイヤホンです。
以下のような方には自信を持っておすすめできます。
- LDACコーデックに対応しているリーズナブルなイヤホンをお探しの方
- TIDALやAmazon Music Unlimitedなどの高音質ストリーミングサービスをお使いの方
- 自宅で利用する高音質なワイヤレスイヤホンをお探しの方
特に、ハイレゾ音源をリーズナブルな機材で楽しみたい方にとって、SOUNDPEATS Engine 4は非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
逆に、通勤や旅行で使用したいなら、やはりノイズキャンセリング機能や外部音取り込み機能が付いていた方が便利ですので、SOUNDPEATS Engine 4は選択肢から外した方が良さそうです。(SOUNDPEATSにもバランスを重視したモデルがあります)
個人的には、自宅での仕事中やリラックスタイムにはSOUNDPEATS Engine 4を、外出時にはノイズキャンセリングを搭載したAirPods Proを、という使い分けをするようになりました。また、旅行に出る時などはサブ機としてカバンに忍ばせておいても良さそうな気がしています。
SOUNDPEATS Engine 4は音質最優先の少し尖った製品ですが、既に他の多機能イヤホンをお持ちの方は、この製品との使い分けも容易でしょう。是非、SOUNDPEATS Engine 4の高音質を体験してみてください。
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